これまで紹介してきた、有川氏の、『図書館』シリーズの2作目、「図書館内乱」で登場した本です。
その通り、中途性聴覚障害(だったっけ?)のかたを主人公にしたお話です。
元はある本の感想を掲載したホームページで2人は出会います。
人が仲良くなるには、さまざまな過程がある。
その中で喧嘩もするし、議論もするし、もちろん楽しいデートもする。
そうする中で2人の距離が縮まり、互いを良く知ることになる。
よく知る、といっても、完全に知ることは出来ない。
どうしても知ることが出来ない領域もある。
だからこそ、相手のためにと思ってすることが裏目に出てしまうということもある。
これは、一方がちょっと込み入った事情やコンプレックスを持っている場合に難しくなる。
その事情を相手に知らせていなければ、他方がそれに裏切りや嫌われた、と感じてしまう。
障害を隠されていたことに、拒絶を感じてしまう男。
ここから喧嘩となり、議論となり・・・
それでもめげずにまじめに向き合った2人は、粘り強く話をしながら付き合っていく。
一方が障害者ということが、そして、それにきちんと立ち向かっていく2人の姿は、根幹となるラブストーリーに、よりいっそう深みを与えています。
同時に、障害者に接する機会がある人には、更に自分のことを振り返らざるを得ないような、様々な状況が描かれます。
ついつい余計なことをしてしまったり、気を遣うべきところに気づかなかったり、トラブルの元になるようなことが、健常者(この場合は健聴者)以上にあります。そのことに改めて気づかされた作品でした。
これを、障害者は難しい、女性は難しい、恋愛は難しい、と、ひっくるめてしまうのは簡単ですが、当事者にとってはそれじゃすまない。
実際に付き合っていくのだから。
恋愛になると更にそうで、何故自分はこんな人と付き合っているのか、そこから深く考えていかなければならない。
今こんなことになっているのは、
俺/私のせいなのか?
相手が障害を持っているからか?
相手が女性だからか?
こんな葛藤を繰り返しながらたどり着く境地がある。
作者・主人公があれこれ考えたある結論がある。だからこそ、このラストの清々しさはあるのでしょう。
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