2007年6月28日木曜日

あくむ   井上夢人

短編集。

ちょっとありえない設定のものもあれば、もしかして・・・と思ってしまうようなものも。


中には、創造したら気持ち悪くなってしまいそうな設定もありましたが、怖いお話です。


ホラーとはちょっと違うんだけど、じわじわと恐怖感をあおられる。。。

井上氏の作品を読んでいると、いつの間にか完全に作品にのめりこんで引き込まれてしまう。
それが、ホラーのように、正に自分の身に降りかかってくるような感覚に陥る。

正夢とか、虫とか、恐喝とか、自分ではとても信じられない/信じたくないことが身に降りかかってくると、パニックになる。

これを、本当に、リアルに体験してしまうような、怖い作品です。

ホラー好きな人、お試しアレ・・・

2007年6月24日日曜日

ライフハックのつくりかた   小山龍介

ライフハックの作り方の本でした(笑)
でも、そんなことでなく、思想的にもいろいろ楽しい本でした。


色即是空、空即是色の、システム論は面白かった。
システムの進化というか、トラブルに対処していくと、次第に組織の構造ができていって、さらに進むと周囲もシステムに取り込んでいってしまう。


あと、ステレオタイプをたくさん持つと、バランス感覚の優れた人になる、というものも興味深い。

人種に対する偏見も含め、いろんなものの見方を持っていれば、それでバランスが取れる、と・・・

これまで、私は偏見を持つまいと、逆にそうしたマイノリティからの情報をシャットアウトしていた気がします。

偏見を恐れず、いろんな情報に触れるのも必要なんですね。

2007年6月22日金曜日

図書館危機   有川浩

命をかけて守るものがある。
傷つけられると、見境なく怒り狂うほど大切なものがある。

自分の恋人であり、たまたまともに過ごした仲間や友達であり、仕事の任務であり‥‥‥


銃を向けられ、「退けっ、撃つぞっ!」と言われて仁王立ちで一人銃弾をその身で受け止める覚悟

食堂に集まる100人以上を相手に喧嘩を吹っ掛けて、一人嫌われてでも仲間を思う気持ち

この人と一緒なら大丈夫+この人のためならどんな苦痛にも堪えられるという思い


極限状態だからこそ露になる人の熱い気持ちほど、周囲の心をうつ/揺さぶるものはない


涙が止まりません。
最後の20頁位を何度も読みかえしました。
何度も泣きました。


主人公もですが、その周囲の人間が、すごい

図書館を守る強い使命感に裏打ちされ、芯の通った強さを見せる


口喧嘩に強かったり、腕っ節が強かったり、各々のキャラ立ちもさながら、いざと言う時、マジになった時は、惚れ惚れします
いや、マジで感動します


振り返って、私にはそんな大切なものがあるだろうか・出来るだろうか…

2007年6月7日木曜日

図書館戦争   有川浩

ちょっと過激な図書館のお話。

ある法律が国会で成立し、その法律の下、全国規模で実力行使を伴う大規模な検閲が行使される。
それに対抗する組織として、図書館を中心とした図書隊が組織される。

検閲をする良化特務機関も図書隊も武力を持ち、時に大人数の死者を伴う事件を引き起こした歴史を持つ。

町の書店でも、時折抜き打ちで良化特務機関の検閲が行われ、学校図書館にも、良書と呼ばれる本、あるいは検閲を通過した本だけが並ぶ。


そうした中で、教育委員会、行政など、さまざまな機関との関係、あるいは圧力を受けながら、図書館はすべての資料を集め、読書に資している。


主人公は、図書隊に読みたい本を守ってもらった経験から図書隊に入隊し、女性でありながら特殊部隊に配属される。

まぁ、親との確執や、上官・同僚とのやり取りなど、コミカルなところもあり、まじめな話もあり、リズミカルにテンポよくストーリーが進行していきます。・・・て、ここだけカタカナが多いのは何故?

読みやすく、分厚い本の割にはあっという間に読み終えてしまいました。


なるほど、これだけ検閲されるというのは問題だ、傍から見る限りは・・・
それが、武力構想になるあたりが、有川氏の構成のうまさ。

図書館の自由宣言。

これは実在する文章。
実在文言を元に、これだけ壮大なストーリーが出来るとは、正直驚きました

戦闘有、コメディ有、恋愛有、武勇伝有・・・


意表をつく仕掛けは、ほんとうに楽しめます。
続編もありますから、ぜひ一読あれ

2007年6月4日月曜日

殺人!ザ・東京ドーム   岡嶋二人

井上夢人の独立前の、コンビ作家の作品です。

密輸した毒物が、東京ドームでの殺人に利用されるという話です…て、まとめすぎか(笑)

ストーリーが面白いと思った点に、いろいろな偶然が重なっている。

普通ならあっという間につかまっていてもおかしくないのに、野球の試合でファウルボールが飛んでいった場所とか、便乗した犯人の手口とか、いろんな偶然が犯行を成功させている…


ストーリー自体は、密輸した人、殺人を犯す人、その他、いくつかの立場から展開します。その中で、殺人犯はかなり独特な考え方をしています。

なんていうか、ろくな育ち方をしていない…
一時は何らかの障害を抱えている人なのでは、と想像してしまったくらい、ものの考え方が偏っている。
(もちろん、障害者が偏った考え方をするとは限りません、単なる印象です)

ものすごい被害者意識をもって、抑圧されているのに、毒物を持ったとたんに、世界で一番力を持っているのだ、と(心の中で)調子に乗る。

周囲におびえて、まともにしゃべることもできない、とても弱い。
虐めのような目にもあっている。
それが、毒をもっていることで、逆に内心で他人を見下す。
虚勢ですね…

かなり屈折した自我を持ちながら、心の中で他人を見下す。
俺が強いんだ。皆俺に一目置いているんだ、俺の力にひれ伏すのだ…

そして、いろんな偶然で成功したことがまた犯人を調子に乗せる…決して自分がうまくやったから、というわけではないのに、むしろ下手に立ち回っているのに、結果的にうまくいった、それだけのことなのにね。


人間の心理としては分かるけど、ちょっと怖い世界ですね。

弱い、本当の意味で弱い人に武器を持たせるとどうなるか、垣間見た気がしました。

武器は、心の支えにはなり得ない。
一時の安心を得ることはできても、周りから認められたり、いうことを聞かせたりすることはできない。

本当に大切なのは、何を持つか、ではなく、どうするか、ということでしょうか

いや、まとめが極めて抽象的になりましたが、とりあえず以上!